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  『世界がもし100人の村だったら』
         の 再話者
池田 香代子さんからのメッセージ

 今まで、私はボランティアなんて、やったことがありませんでした。毎月、銀行から数千円が国際的な医療援助組織に自動引き落としされるだけ、季節になればユニセフから送られてくるカタログのいいなりにカードを買うだけでした。

 それが昨秋、アフガンというくにの人びとが長年、戦乱に蹂躙されたうえ、何年も旱魃に苦しんでいるというのに、手をさしのべられるどころか、今また圧倒的な軍事攻撃にさらされ、怯えていると知りました。知らなかった自分に衝撃を受けました。

 さらには、その地で一人の日本人医師が二十年近く医療にたずさわり、井戸を掘りつづけてきた、その彼が、今アフガンのために一億円の募金をはじめたと知って、胸が熱くなりました。そして、だったら私はお金を儲けてその足しにしていただこう、と思い立ったのです。

 もちろん、これではなぜ思い立ったのかの説明になっていません。思い立った理由は、われながら今もって謎です。

 元手は友人から来た一通の電子メール。これを本にして印税を稼ぐ、というのが私のもくろみでした。世界中をおよそ十年も経巡るあいだに徐々にかたちをととのえていったそのメールは、もともとそう思わせるものをそなえていました。
 
メールは世界を百人の村にたとえ、淡々と数字をあげて、富の偏在やそれにともなう悲惨を静かに訴えていたのです。

 それは、いうまでもなく豊かな側の人間へのメッセージでした。けれども同時に、豊かでも幸せだとは思っていない、心に傷を負った人へのメッセージだ、とも思いました。かといって、「世の中にはこんな不幸な人もいる、だからそんな悩みはぜいたくだ」などと、問題を矮小化して、わけのわからない脅しをかけるものではありませんでした。

 あなたがしんどいのはわかるよ、そのあなたはこういう世界に生きている、そのことを知ったら、しんどさはしんどさのままだけど、あなたはかけがえがないのだという感情も湧いてこないだろうか、それと同じ感情が、この世界に生きる会ったこともない、これから会うこともない人にたいしても湧いてこないだろうか、そしてこの世界そのものにも……私は荒削りのつぎはぎ細工のようなメールから、そんなメッセージを受けとめ、その方向に文章をととのえました。

 それを英語に訳してくださった政治学者のダグラス・ラミスさんは、ヒッピー時代に西荻のほびっと村のレンガを積んだという経歴の持ち主です。私も高校時代は西荻がベースでした。西荻ご縁のこの小さな本が、いま総額3500万円の「100人村基金」を生んでいます。

                   池田香代子




『世界がもし100人の村だったら』 
発行:マガジンハウス・ 838円
URL:http://www09.u-page.so-net.jp/pf6/kayoko-i/