Aちゃんボール
         薗部  知昭


 堀ノ内東児童館は、すごく活気のある児童館だ。学童クラブの子や放課後に遊びに来た子供たちが、読書や工作に熱中したり、ユニホックやドッジボールで暴れまくる。

 その中に、障害児が混じっていることがある。済美養護学校のAちゃんも、その一人だ。障害児の枠の中に閉じこもっていてはいけない、もっと交流を広げさせよう。これがお母さんの強い願いなのだ。だから、Aちゃんは、児童館にも顔を出している。

 Aちゃんは、もっぱらユニホックを楽しむ。このスポーツは、ホッケーを子供向きに変えたものだが、かなりのスピードが要求されるゲームだ。 

 動作が遅れるAちゃんには、みんなと同じようにプレイはできない。そこで、児童館の先生がAちゃん用のルールを編み出した。プレイスオフの第一打は、Aちゃんの権利とする。ゲーム中、Aちゃんはコート外の中央に待機している。そして、ボールがコートを飛び出してAちゃんのそばに流れてきたときは、「Aちゃんボール」と称してAちゃんがコート内に打ち返す。このときは、他の選手は手を出してはいけない。

 この“Aちゃんルール”のお陰で、Aちゃんは立派にゲームに参加できるようになった。このルールを利用して、故意にボールをAちゃんコーナーに出してピンチを逃れる、という賢い子どももいる。 元気に遊ぶ子供の姿は、天使にみえる。     

    *『すぎなみ文化通信』 1999年4月号 掲載


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