![]() 〜 『杉並病』・『南伊豆健康学園』・『学校給食』 〜 『すぎなみ文化通信』2000年8月号 掲載 1.発生から四年。 『杉並病』は どうなっているのか? 「杉並区に住んでいます」というと、「あの杉並病の・・・」なんて言われた経験はありませんか? 「何だか有毒みたいで恐ろしいけれど、いったいどうなっているのかしら?」という声が編集部に寄せられました。 そこで、「杉並病をなくす会」の森上さんの了解を得て、資料を掲載させてもらうことにしました。 * * * * * * * * * * * * * * 《杉並病をなくす会からのアッピール》 今、東京に「杉並病」という得体の知れない恐怖が広がっている。 発端は、平成8年4月。「化学物質過敏症」と思われる健康被害が、杉並区井草に数人、そして、時とともに続々と発生し始め、その数は、平成10年5月の私共と市民オンブズマン杉並、市民政調の市民三団体による任意アンケートで、4000名を超えた。 平成9年1月に都と区が行った杉並二地点の大気分析について田中敏之氏(通産省資源環境技術総合研究所)は、アルデヒド類などが多い杉並の空気の異様さを指摘している。 しかも、これまでの科学的知見によれば、今の技術では環境中の物質を分析できるのは全体の4%がせいぜいで、その他の96%はわからないとされている(第八回廃棄物学会研究発表 安原昭夫論文)。もっとも、その4%にあたるはずの種類の分かった化学物質は、都や区のこれまでの調査から既に350種類ほどもあり、その中で青酸よりはるかに毒性が強いトルエンジイソシアネートや、生殖毒性が心配される環境ホルモン(*)・フタル酸エステルなども検出されている。 実際、現地でクレゾールなどのような異臭や東京で発生しないはずの「霧」が度々観測され、その大気のおかしさは尋常ではない。 疑惑の中心は、健康被害が発生し始めるのと同時期に稼働を始めた都の杉並不燃ごみ中継所だ。 というのも、そのプラスチックごみを圧縮し、しかも負圧にして排気するメカニズムが極めて危険らしい。武蔵野市にも不燃ごみ中継所があるが、プラスチックを分別処理している。「基準値」以下とはいえ、現に杉並中継所の廃水からは「シアン」さえ検出されているのだ。 私共は、国の公害等調整委員会に健康被害が杉並中継所によるものだということを主張して、原因裁定の申し出をし審理中だ。ただ公調委が裁定するにはまだ長く時間を要しそうだ。 事件発生から二年半になろうとしているのに、中途半端な健康診断、都清掃局という発生源と疑われる役所まかせの調査、大気汚染と公衆衛生に責任をもつべき行政当局の不作為と、被害者救済はおろか被害防止の対策が一つだに立てられていない。この間に汚染区域は拡大し、今私共に寄せられる異臭や被害情報も西東京一帯に広がり始めている。 化学物質過敏症は、その個人の許容量を超える化学物質を浴びれば誰でも発症し、一度発症すれば、後はごく微量の化学物質でも苦しい。もちろん化学物質を浴び続ければ症状は一時的な小康状態の後、次第に重篤化する。今のところ唯一の対策は原因物質から遠ざかる(現実的には引越)しかない。 一刻も早い「杉並病」の原因究明と抜本対策を促したい。 *平成10年12月21日、東京都は平成10年8月に行った調査で、中継所付近や換気塔付近の三地点で環境庁が定める基準値を上回るダイオキシンが検出されたことを明らかにした。 (概略) 平成10年10月 杉並病をなくす会/事務局長 森上 展安 * * * * * * * * * * * * その後、被害の拡大と、区民の強い要望によって、不十分ながら健康診断が実施され、調査が始まっています。 《東京都知事のおわび》 「被害者には申し訳なかった。賠償も考える。原因は、排水の設計不良による硫化水素の発生、ならびに井草森公園樹木支柱の防腐剤の揮発である。」という調査委員会の結論について知事の発表がありました。 《杉並区の調査》 杉並区は2000年6月27日、杉並中継所の排気から出る化学物質を調査しました。7月に定量調査を行い、9月には調査結果を公表するとのことです。 それに先立ち、調査委員4名が、必ずしも大気汚染の専門家でなく、化学物質過敏症を否定する学者を入れてあるとのことで、「杉並病をなくす会」では、緊急に署名を集めて6月19日付で「『杉並区中継所に関する環境点検調査の概要』案に対する疑問と要望」を提出しました。 杉並区は、今年の6月1日から『ダイオキシン条例』を施行していますが、「小型焼却炉の禁止」が主な内容で、大問題となっている中継所については、まったく触れていません。どうなっているのでしょうね。『すぎなみ文化通信』としても、今後も注目し、また読者のみなさんに報告していきたいと思っています。 (『すぎなみ文化通信』編集部) 「杉並病をなくす会」のホームページ http://www.suginami-byo.gr.jp/ 2.南伊豆健康学園はどうなるの? 南伊豆健康学園は、海に面した豊かな自然の中で、ぜんそくなどで悩む小学生(3年生から6年生まで)の子どもたちの、心身の健康づくりのために役立っている施設です。 一昨年、光化学スモッグが連続で発生し、沓掛小学校の子どもたちがプールでたおれた事件がありました。子どもたちにとって、心身共に住みにくい街になっていませんか? 南伊豆健康学園では、26年間で1000人以上の子どもたちが育ってきました。それなのに、財政難を理由にこの貴重な学園を廃止してしまってよいのでしょうか? * * * * * 「南伊豆健康学園の存続を求める会」では、「学園存続」を求めて署名運動に取り組み、14358名分の署名と共に陳情書を区に提出しました。 * * * * * A君は、喘息とアトピーがひどくて、夜になると発作が起き、アトピーもかゆくて熟睡できないようでした。食事も、ほんの一口しか食べないときもあり、体を動かす遊びもしたがりませんでした。 健康学園から数カ月ぶりに帰ってきたA君は、日焼けした顔で、「釣りが出来て面白いよ」と目を輝かせていました。一輪車にスイスイと乗れるようになり、けんだまも上手で、いろいろなことに、自信を持てるようになったようです。(K子談) 3.学校給食はどうなるの? 2000年7月に入って、急に浮上してきたのが、学校給食の民営化問題。杉並区は、「民営業者にまかせる」方向で、「杉並区学校給食調理業務運営改善検討会」を設置し、7月中には結論を出すとのこと。 7月6日から、区内4会場で「説明会・意見交換会」が持たれました。 学校給食は、教育の大切な一環です。各小学校のPTAでも、検討会のありかたなどに要望書を提出したり、急速に反対の声が広がっています。 * * * * * 杉並区の学校給食を考える会では、どんな問題点があるかを整理し、他区の状況の調査も進めています。 《会のニュースより抜粋》 @検討会は非公開で、民間委託を推進する人が過半数。 A食材の大量購入、冷凍食品の活用など、安全面で問題がある。 B他区では、委託後に、異物混入などのトラブルが起きている。 C業者の落ち度で事故が起きたときには、区は賠償責任を負わない。責任放棄である。D委託数年後には、現在よりも高くなるので、経費節減にならない。 E旬の野菜を心込めて栄養士さんと調理師さんで作ってきたおいしい給食がなくなる。Fたった三ヶ月の検討会で拙速な結論を出さず、区民を含めて、十分な討論を。 |