ゲストは・・・能楽師シテ方金剛流・工藤寛さんです!
今回のインタビューは、工藤さんのご自宅の舞台にてさせて頂きました。真新しい舞台でありながら、とても伸び伸びとした素敵な空間です。その舞台にて「能に親しむ人の輪を広げよう」ということで、来年より『能楽事始』を主催されます! そのような能の普及活動に積極的な、能楽師工藤寛さんとお話ししましょ!
☆能について観た事がない方にもわかるよう、簡単な説明を頂けますか?
「能は、謡と舞から成り立つ日本の舞台芸術です。ただその表現の仕方がドラマ・演劇的な写実表現ではなく、抽象的であるというのが一番大きな特徴です。つまり完全に様式化されているのですね。
様式化されていると、観ている人には何をやっているのかわからないのだけれども、様式化された動きとか姿の美しさを味わえばいいんです。そのために面(オモテ)があり、綺麗な装束があり、身に着けているのです。
あと、説明的なことは謡を聴いていればおよそわかるのですが、これがわからないという人が多いです(笑)。謡の言葉は難しいですからね、古文ですから。節がついて謡として謡われると、なおさら何を言っているか、わからないとなってしまうので、能を観る時はある程度事前の学習が必要でしょうね。単純に雰囲気を味わうこともできますが、より楽しく味わおうと思ったら、前もって謡の文章を読んでおくといいでしょう。
最近の能会ですと、謡の解説を(パンフレットに)載せているところもありますし、開演前に目を通しておくとか。まぁ、上演中にめくっている人もいますがね・・・非常に迷惑なんですが(笑)。」
分かりやすくご説明して頂きました。ちなみに・・・能の上演中、ページが変わる度にパラパラパラっという音が響き渡るのが嫌で解説を載せない師匠も多いそうです。工藤さんもそのお一人ですが、その代わりに、あらすじを丁寧に書いて差し上げるとのこと。素晴らしいオモテと装束を着けて舞っている舞台を観ずにパラパラしていたら損ですよー皆様! 必ず舞台上演の前にチョイと読んでおきましょう。脱パラパラ族!
☆世襲制なのですか?
「歌舞伎は、確かにそれが強いです。実際に主要な役を務めることが出来るのは、代々その家に生まれ育ってお稽古してきた人です。能も確かに世襲でいきますけれども、僕なんかもそうですが能の家ではありません。外から入った人間でも能の世界は受け入れます。上の人のお許しさえ得られれば、自分が主人公・シテとなることも出来るし、自分で主催する会を開くこともできます。
能は歌舞伎よりずっと歴史は古く(六百年以上)、ある意味で歌舞伎より封建的な面もすごく強いのですけど、外の人を受け入れるという点では歌舞伎よりずっと開けてますね。だから僕もやっていられるわけで(笑)、飛び込もうと思ったんですね。」
古典芸能はとかく世襲制度が貫かれており、それが伝統を引き継いでゆくということにも繋がっているのですが、そのことが自分達とはかけ離れた世界とみなしがちな面を持っていることは否めません。ところが能の場合、本気でぶつかってくる者にはきちんと道があるという事実を知り、<爽やかな衝撃〉が走りました。
☆ズバリ、能楽師になるには?
「その家に生まれた人と外から入る人とでは違いますが、外から入ってくる人でプロとしてやっていくには、まず能の基本である謡と舞をしっかり勉強することが大事です。
それから囃子を勉強しなくては・・・笛・鼓・大鼓・太鼓の四つのうち最低三つは勉強しないと能の専門家としては難しいですよね。
能は完全分業制で、シテ方・囃子方・狂言方・ワキ方とそれぞれの役しか務めませんから、シテ方についてお話をすると・・・自分の先生の内弟子に入る。それもなるべく早く(年齢的に)。一番いいのは、住み込みでお手伝いしながらお稽古をつけて頂き、それをしながら囃子の稽古も囃子の先生につけて頂く。そうやって住み込みで修行をするのが一般的です。その内弟子に入るのも、一番いいのは家元のところに入る。その人にもよりますが、内弟子修行を中学卒業してすぐ入れば十年くらいかもしれないし、大学卒業して入れば3年くらいかもしれないし、その人の習熟度によりますね。」
興味深いお話です。完全分業制だということ、皆様は知っていましたか?
「僕の場合は内弟子に入らないで、自分の先生に通いでずっとついてて。習い始めたのは20歳からで、この世界でやっていこうと思ったのは42歳の時だったんです。もちろんその前に師範の資格は持っていましたが。」
内弟子に入らなかったのは教員でいらしたからで、教職に就きながら習い続けていたのだそうです。夢や目標を持つ人間のバイタリティたるものは半端ありません。その姿勢が人の心を打つのかもしれません。ご自分で「珍しい例だと思います」と仰っておられたのですが、きっと後世の育成にも多大な影響を与える刺激的な存在でいらっしゃるのではないかと思います。
まだまだ沢山のお話がありますので、次回も引き続き工藤さんのインタビューです!
聞き手:雪乃さずき(女優)
『すぎなみ文化通信』2002年11月号掲載 インタビュー後半へ
《能楽師シテ方金剛流 ・工藤寛さん情報》
☆「能楽事始」(のうがくことはじめ)
日本が世界に誇る 美しく奥深い舞台芸術「能」に親しみましょう
グループで楽しく 謡(うたい)仕舞(しまい)のお稽古を・・・
前期 1月〜6月 後記 7月〜12月
何かで能に触れる機会があって、「素敵だな・・・」「謡や舞をしてみたいな・・・」と重いながらも、色々な理由で、なかなかお稽古に踏み切れないでいらっしゃるみなさん。そんな方のための教室があります。
グループで仲間とともに、気軽に楽しく、kれども 謡、舞の第1歩からきっちりと、稽古の密度は濃く、そして、能をもっと楽しく観られるようになる・・・。それが、能楽事始。
さあ、能の世界へ、第1歩を踏み出してみましょう。

【日時】 月3回 (土曜日か日曜日) 10:00〜11:30
【会場】堀ノ内3-42-12 楽瑶舞台(工藤宅) 地下鉄丸の内線「新高円寺」
徒歩7分
【講師】社団法人能楽協会会員 能楽師シテ方金剛流
工藤 寛
【申し込み】工藤能楽デスク TEL/FAX03-5378-1205
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