☆能の流派はどのくらいあるのですか? 
「シテ方が五流で観世流・宝生流・金春流・金剛流・喜多流。喜多流が一番新しくって江戸時代に出来た流儀です。あとはみんな能の草創期に出来た室町時代からあるものですね。そして他のお役の流儀を挙げだしたらきりがないですね(笑)。
笛は笛で流儀があるんですよ。鼓は鼓で流儀があって、それぞれに家元がいらっしゃる。狂言はね、今話題の和泉元弥君の和泉流というのと大蔵流っていうのとありますけど(笑)。
各流それぞれ特色がありますけど、金剛流というのは[舞金剛]と言われていて、特に舞が鮮烈で美しい・華麗であると言われています。他の流儀よりも能にしてはめずらしくカタが(動きが)多い。能ってなんとなく動かないものってイメージがありますでしょ!?全然動かないとかね(笑)。
金剛流は比較的動きが多く、京舞にも取り入れられています。もう一つは[オモテ金剛]と言って、家元の所蔵するオモテが非常に優れたものが多いということで有名ですね。」
各流派それぞれの個性があるということは、各流派の特徴をチェックしてから観るとちょっとしたツウ気分で観られますよね(笑)。そして、きっと自分のお気に入りの流派が出てくると思います。もしかすると自分でもやってみたいと思われるかもしれませんね。
実はこのインタビューで伺った時、竹内編集長が能体験デビューをいたしました! 実際の能舞台上ではほとんど勘で動いています。というのも面(オモテ)の瞳の穴ってすごく小さくて、望遠鏡と同じで装着すると焦点が一つになるのです。ですから足元はほとんど見えず方向感覚がとりづらいのです。だから舞台の四本柱が非常に重要になってくるそうです。
この時の様子は写真を御覧下さいね。皆様もやってみたいと思い立った時には、是非金剛流の工藤師匠のところまでどうぞ!
☆なぜ杉並区に住んでいらっしゃるのですか?
「そもそも最初は3年前に阿佐ヶ谷に住み始めたんですけどね、それは単純な理由なんです。前にいた練馬区南大泉というところは借家だったんですけどね、家内はピアノをやっているんですよ。私は能でしょ。両方とも音をだす仕事でしょ。ガンガンガンガンやってるでしょ・・近所から苦情が出たんです(笑)。
借家ですから作り変える訳にはいかないので、もっと広い家に・隣近所とあまりくっついてない所に移ろうかとなりまして。阿佐ヶ谷に家を見つけて見にきたら大変気に入りましてね。たまたま条件に合ったのが阿佐ヶ谷だから阿佐ヶ谷にしたというだけなのですが、住んでみたら阿佐ヶ谷という街自体もとっても気に入ったんです。人も気に入ったし、街自体も気に入ったし。
その後両親と一緒に住むことを考えたり、稽古をする度にあっちの舞台を借り、こっちの舞台を借りでは弟子も大変だしということで、家を造ろうと考えたときに、気に入った阿佐ヶ谷かその近辺がいいなと思いまして。永住するということですからね、ここならいいなと思いまして。」
その土地のことって、住んでみないとわからないですよね。余談ですが、中央線と西武池袋線に乗っている人の違いの話で盛り上がりました。中央線に乗っている人を見て「この人は一体何をやっているんだろう?怖いな」と思っていらっしゃるそうです(笑)。えぇえぇ、そうなのです。名付けて中央線のカルチャーショック現象・・・皆様も経験ありますか?
☆杉並区の良いところ・改善すべきところは? 
「良いところは、現代のものと古いものが混然一体となって存在して、それがちゃんと立派に生きているということです。お祭りごととか古くからのものを伝えてきていたりして、昔から住んでいる人たちの人情が感じられますよね。
かと思うとロックやジャズのライブハウスがあったり、あやしげな店があったり(笑)。いまどきの若者も多いしストリートミュージシャンも多いし、そういうところがね、すごく面白いしいいなと思いますよね。なんとなくホッとします。」
「嫌なことは一つだけあって、犬立ち入り禁止の公園が多いってこと(笑)。」
犬立ち入り禁止の公園が多いのは、やはり飼い主のマナーの問題ですよね。工藤さん宅のワンちゃんをはじめ、多くのワンちゃんが遊びに行ける公園がどんどん増えるか否かは飼い主にかかっております!皆様、人ごとではありませんよ!
柔和なお人柄が随所に感じられるインタビューの様子が伝わりましたでしょうか? さぁ、これを機に、能楽堂へレッツゴー!!
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●「能体験」をさせてもらった、竹内編集長の談話
美しく刺繍が施された髪飾りを頭に結わえていただいただけで、気持ちがきりっと引き締まりました。
人間味を持たせるために、わざと左右非対称に彫られるという面をつけると、あらふしぎ。目の前ははっきりと見えるのに、見える角度は、ほんの30度くらい。
日本の伝統美について、ぐっと興味が湧いてきました。身近な地域で、能を学んだり体験できる場をつくって下さっている工藤さんに、あらためて、感謝!
聞き手:雪乃さずき(女優)
『すぎなみ文化通信』2002年12月号掲載
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