夏を思わせるような陽射しの中、新宿から総武線に揺られること14分。今回、やってきたのは西荻窪。この街には、アンティークショップや古本屋、おいしい総菜屋やパン屋があるらしい。さあて、一体どこへいこうかと考えながら私は駅へと降り立った。
駅の階段を降りていた時、ぱっと頭に浮かんだ「ある店」を目指し、南口を出て平和通りを歩く。途中、店頭に置かれた動物の木彫りに惹かれ「BACK
TO THE BALI」に立ち寄る。
地図を片手にアジアやアフリカの雑貨に見入っていた私を見て、「西荻を廻ってらっしゃるんですか」とご主人。「ええ」「じゃあ、これもあるといいですよ」と持ってきてくれたのは「西荻アンティークマップ」。「たくさんお店が載っていますけど、お勧めってありますか」「うーん、アンティークに手作りのものを扱った店、古本屋といろいろあるんですけど、特に面白いのはニヒル牛かな。あと・・・」
ニヒル牛。
私が向かおうとしていた「ある店」のことだ。「いっぺんに廻ろうとすると疲れちゃうから休みながら行くといいですよ」ご主人の優しい言葉を背に、再び歩き出す。平和通り最初の信号の角から2軒目に、ニヒル牛はある。交通標識の「に」が目印だ。
以前、テレビで見て一度行ってみたいと思っていた「アートギャラリー雑貨店」。ニヒル牛の面白いところは、その店舗形態にある。制作者がオーナーからボックス型のスペースを借り、その中で自分の作品を自由に展示、販売する。プロ、アマ問わず、誰でも参加でき、無審査なので何を置いてもいいそうだ。
店内には、自筆のポストカードやマッチ、パンダやクマなどの編みぐるみ、木製のロボット、何だか怪しげな物体をペットボトルに入れて分解具合を観察する「アート」など、きれいなものからそうでないものまで実に様々な作品が置かれていた。
相談を書いて投函すると返答してくれる「島田夫婦の相談箱」や、「貧乏人といわれるより貧乏臭いといわれるほうが傷つく・・・」といったふうに、毎日違うことが書かれた日めくりカレンダーなどの変り種もあった。「これもアート?」と首をかしげたり、カエルのスタンプのかわいらしさに感心したりしているうちに、あっという間に時間は過ぎていった。
「唯一の宝物、世界でここにしかないゴミクズが見つかる店、ニヒル牛」。そのユニークさは一見の価値あり、だ。

ニヒル牛:「にひるぎゅう」と読むそうですが、牛丼屋ではありません。狂牛病の心配もありませんよ!!2000年6月1日開店。03-5346-1867 あなたも作品を並べてみては!? |